This is a pen ~デンマーク人と日本人の国際結婚ブログ~

日本人(男)とデンマーク人(女)夫婦の日本とデンマークでの生活。

サッカーデンマーク代表チームの危機

こんばんは。

 

サブローです。

 

今夜は国際親善試合デンマーク代表対スロバキア代表です。

週末にはUEFAネイションズリーグという新大会の開幕戦ウェールズ戦が行われます。

 

ロシアW杯では準優勝したクロアチアPK戦まで持ち込み活躍を見せたデンマーク代表チームに今回の新大会でも期待が高まるところですが、今代表チームは大きな危機を迎えています。

今夜のスロバキア戦にW杯で活躍した選手たちは1人も出場しません。

選手は主にフットサルの選手や国内下部リーグなどから選ばれ、監督含めたスタッフも代行が勤めます。

一体何がおきているのでしょうか…?

 

事の発端は選手のスポンサー契約に関する問題でした。

エリクセンをはじめとする代表の選手たちは、様々な企業のスポンサーを個別に契約しています。

一方代表チームそのものにもまたスポンサーが付いています。

その代表チームのスポンサーと選手たちの個別のスポンサーが、競合企業となっているケースがあります。

そこを代表チームの場合どっちを優先するかというのが問題の発端でした。

交渉期間中は以前の合意内容下で試合が行われていたそうです。

数ヶ月前から新しい合意の交渉はされていましたが、なんとこの新大会の開幕前にデンマークサッカー協会が交渉の打切りを一方的に選手側に通告しました。

選手側はまだ日程的にギリギリまで交渉できると思っていたそうですが、突然の一方的な協会側の態度に困惑しているそうです。

選手側はこの2試合だけは以前の合意内容で試合に出場しても良いと発表していたのですが、協会側は認めないと一点張りで平行線となっています。

結果、代表の選手たちは出場しないことが決まりました。

監督はこの状況下で指揮をとることで選手たちとの関係に悪影響を及ぼさないためにも代行が勤める事となりました。

 

この件の一番の問題は、前述のUEFAネイションズリーグが数日後に近づいているからこそとても深刻なのです。

理由は今回の新大会は次のヨーロッパ選手権の予選も兼ねているのです。

ということは、今回の開幕戦である9日のウェールズ戦に出場できないと失格ということにもなる可能性があるのです。

そういった事情もあり、急遽サッカー協会が用意したのが今回の代表チームなのです。

このチームは株主やオーナーのクラブチームではありません。

デンマークという「国の代表」なのです。

なので、今回の試合をしないという事は今まだ選ばれずに数年後の代表選出を目指している選手たちの可能性まで奪うことになります。

昨日代表チームに招集された選手たちを他の選手側や一部のファンが「裏切り者」、「注目を浴びたいだけ」というような批判をしているようです。

今回の件に裏切り者はいません。

そして、急遽招集された選手たちは自分から出たいと言ったわけでもありません。

とりあえずデンマーク代表というチームを次の大会で失格にならないよう、こういった批判の中集まってくれた勇気ある選手やスタッフたちに協会側も選手側も感謝すべきです。

そして、長い交渉の中突然強硬な手段をとった協会、選手双方に責任があります。

 

一方相手のスロバキアですが、この状況に怒っているようです。

当初想定していた練習試合の相手が主力どころかほとんどの選手が招集すらされていないわけですから、新大会の開幕前の準備の予定が狂ってしまったという気持ちでしょう。

その分試合後にはデンマークにお金による保証も求める考えだそうです。

そして今回のデンマーク代表監督代行が「国の代表として頑張ろう」と声明を出した事で、スロバキア側の選手がフットサルのような違う競技の技術の低い選手に怪我をさせられたら困ると心配しているそうです。

もちろんこの試合が期待したデンマーク代表のメンバーでないことの失望はあります。

でも、相手が自分のチームの価値の高い選手を怪我させたら困るというような声があることには疑問を感じます。

国際親善試合ですが、選ばれた選手は自分の役割を果たそうと一生懸命になるのは当たり前です。

怪我などの事故があってはいけませんし、心配する気持ちもわかります。

でもこのような声が聞こえる事は決してあってはいけない、非常に敬意を欠いたものだと思います。

では、スペインやドイツとスロバキアを比べたらどうでしょう?

もしかすると今のデンマークスロバキア以上の選手の価値の差があるかもしれません。
そして、もしそんなことがあってもそんな事を相手が言うでしょうか?

クラブチームの大会でもイングランドプレミアリーグの上位チームが、4部リーグなどアマチュアレベルのクラブと試合をすることだってあります。

おまけに、試合後に保証を求めるのであれば試合のチケットを1ユーロに下げる必要もないと思います。

もちろん親善試合もビジネスです。

ですが、その差額を試合後に要求すれば済むことです。

わざわざそれをするのは、デンマーク代表チームへの敬意が全くないとしか言いようがありません。

 

このように、デンマークサッカー協会、デンマークの選手、おまけに相手のスロバキアまでがおかしな方向にいっているように感じます。

 

私たちはこんな難しい状況にもかかわらず急な代表招集に応じて、スロバキア戦に準備している今回の代表チームを応援したいと思います。

ただ、デンマークサッカー協会を支持するわけでもありません。

また、一部選手側の態度にも納得できないところもあり本当にどちらが正しいかの判断はできません。

そして、双方に非があることも事実です。

とにかく、少しでも早くこの問題が解決される事を望みます。

 

頑張れデンマーク

 

それでは次回もよろしくお願いいたします。